ご子息が家を買うときに検討すること
1資金援助方法あれこれ

ご子息がせっかく家を建てるなら、援助してあげたいのが親心ですが、まずどのような資金援助の方法があるか検討してみましょう。
➀住宅取得資金の贈与の特例を活用して贈与する
取得される住宅の省エネ等級によって1,000万円又は500万円が非課税となります。
令和6年度税制改正により省エネ等級が厳しくなっていますので注意が必要です。
➁暦年課税贈与で贈与する
110万円までは非課税となりますが、それを超える部分は贈与税が課税されます。
③精算課税贈与で贈与する
直系尊属からの贈与について、累計2500万円までは贈与税は課税されないものの相続発生時に相続でもらったものとして相続税が課税されます。通常直系尊属の年齢は60歳以上という制限がついていますが、住宅取得の場合は60歳未満でもOKになります。また令和6年からの贈与は110万円の非課税制度が新たに創設されましたので、2610万円まで贈与税はかかりません。さらに➀を最初に利用して贈与した上で、その後この制度を利用して贈与すると、最大3610万円まで贈与税ゼロで贈与することができます。ただし、このうち2500万円については相続時に相続により取得したものとみなして、相続税が課税されますので、その分の納税資金が必要となります。なお、相続時精算課税贈与額をプラスしても基礎控除に満たない場合は相続税の申告は不要で、相続税もかかりません。
④親子間貸付
一般の金融機関から資金を借りる時の契約と同様の契約を、親子間で結びます。金利をゼロとすると、金利分の贈与が発生し、さらに返済を全くせずに催促もしないということならば税務調査において贈与と判断されることもあるため、あまりお勧めではありません。最初はきっちり約定返済していても、教育資金や生活費にお金がかかるようになると、うやむやになってしまい、結果的に返済がされないケースが多いからです。どうしてもということであれば、親の貯金を担保にして子が金融機関から借りるほうが良いと思われます。金利はかかりますが、貯金が担保ですので、貯金金利プラスアルファの金利で借りることができます。
⑤親名義での購入
親の名義で不動産を購入することにより、売買価額と相続税評価額の乖離が大きい場合は、相続税対策となります。なお、3階建て以上の分譲マンション等の評価は、時価の60%が相続税評価となるような評価方法の見直しがされていますので、ご注意ください。
2住宅借入金控除との関係
ご子息が住宅借入金控除を受ける場合で、上記1➀の住宅資金贈与を受けている場合には、住宅の取得価格のうち住宅資金贈与の非課税金額を控除した金額と、借入金の残高のいずれか少ない金額が住宅借入金控除の対象となる借入金額となります。

3相続税への影響
相続税対策として効果的なのは、上記1の資金援助方法のうち➀住宅資金贈与と⑤親名義での購入です。相続税の計算上、➁の暦年課税贈与では、令和6年以後贈与された財産は、贈与後7年以内に相続があった場合は、相続財産に持ち戻されますし、➂の相続時精算課税により贈与した財産は、年間110万円を超える部分は相続財産に持ち戻されますが、➀の住宅取得資金贈与により取得した資金については持ち戻しはありません。また、親名義の財産は上記1.⑤でご説明しましたように、実際の売買価額よりも相続税評価額が低い場合が一般的であるため、財産引下げ効果があります。
一方④の貸付は親の財産が現金から貸付金に名前が変わるだけで、相続財産として残ります。さらに残金が相当残っている場合は、借主はこの貸付金を相続しただけで、相続税を支払わなければならなくなります。この点からも貸付はおすすめできません。
4遺産分割への影響
遺産分割をする際に、民法の規定では、先に財産をもらった人と相続で財産をもらう人の公平を図るため、亡くなった方の相続発生時の財産に、先にもらった財産(特別受益といいます。)を加算したうえで、民法上の相続分を乗じて計算した金額から、その相続人が先にもらった財産を差し引いたものがその人の相続できる財産となります。そして、この特別受益として調整される財産は、相続人が遺言書により取得した財産と生前に被相続人から相続人が取得した生計の資本となる贈与財産(例えば自宅購入資金や開業資金)等で、遺産の前渡しとみられるものです。上記1.➀~③の相続人の自宅を取得するための生前贈与については、生計の資本となる贈与に該当するため、特別受益として相続時にその相続人の取得することができる相続分(具体的相続分)から減額されることになります。活用例としては、後継ぎ以外の相続人に住宅取得資金を贈与しておくことで、その相続人の民法上の相続分がその分減額となりますので、相続の際に後継ぎとなる相続人の相続分を多くすることができます。

5まとめ
住宅の取得は、高額ゆえに、何度も買い替えることができないので、少々高くても長く使えるものをと考えます。そのため予算オーバーとなりやすく、そのオーバー分を親が贈与してくれるというのは大変ありがたがられると思います。援助の方法はいろいろありますが相続税と遺産分割にも有効な住宅取得資金贈与の活用を基本として、さらに不足する部分を他の方法で手当てするという手法が現実的かと思います。
